1990年、初登山時の写真。険しい山だったが大きな感動も

食事、温泉……楽しみ方は十人十色

今はドラマの撮影と著書の執筆が重なっているのでなかなか山に行けないのですが、自然の中に身を置きたくて、つい先日もスケジュールの合間を縫って尾瀬に行きました。

なにも高い山だけが山ではありません。里山や湿原など、身近な山や自然はたくさんあります。落ち葉を踏んだ時のサクサクという音や、足の裏から感じるやわらかい感触、渓流の水音、鳥の声……。

自然の中に身を置くと五感が研ぎ澄まされますし、緑に包まれると本当に癒やされる。そうした《ご褒美》に出合えた瞬間、つらさも吹き飛び、心身がリフレッシュされ、「よし、明日からまたがんばろう」という気持ちになります。

それに、山の楽しみ方は人それぞれです。百名山の踏破を目標にしている人もいれば、とにかく高い山が好き、という人もいます。

私の場合は、頂上に登ることだけを目指しているわけではありません。もちろん頂上を踏むと達成感があるし、風景も素晴らしい。でも私にとっては、「過程」をどう味わうかが大事なのです。

また、登山を始めて、山は文化や歴史につながっていることを面白く感じました。たとえば、山小屋はいつ、どのようにしてできたのか。山小屋のなりたちを聞いたり、「へぇ、山小屋主が登山道を整備したりもするんだ」などと、人と山のかかわりにも興味津々。

ほかにも渓流や岩、樹木を眺めているうちに、「なるほど、日本庭園はこうした自然の風景を庭に再現しようとしたのか」と思ったことも。「小堀遠州も、深山幽谷の風景を実際に見てイメージを膨らませたのではないか」などと想像すると、楽しくて仕方ありません。

山と信仰の関係も面白いですね。日本はもともと自然を畏怖する文化があったので、山に神社や寺院が設けられているところも多いし、白山や日光の二荒(ふたら)山(男体山)のように、山そのものがご神体というところもあります。