愛されるダメ人間
上島さんは、人間の業をすべて隠さず出す人でした。人間はどこかかっこつけますが、上島さんはそれがない。なかなかできないことです。
上島さんって、楽屋泥棒だったんですよ。ある日、上島さんが「リーダ―、この前借りていた3万円返すよ」と言った。「え、貸してないけれど?」と返したら、「バカだな、お前が知らないうちに借りてるんだよ」と悪びれもしない。その時に「この人すごいな」って思ったんですよ。俺だったら黙っているか、そっと財布に戻す。上から目線の泥棒ってすごい。そういうところが好きですよね。
上島さんから、「リーダー、相談があるんだよ」と誘われて寿司屋に行ったときのことです。上島さんは何も話さずにいて、「リーダー、帰るか」と言われたのでお会計は自分が払うことにしました。そうしたら、お会計で何万円って額を請求されて。刺身とチューハイ何杯か飲んだだけなのに「ええ、高すぎないか?」と思っていたら、寿司屋の大将と上島さんがコソコソしている。大将が「申し訳ありません。上島さんのツケの分が入っています」と告白したんです。
すると、上島さんが「話すなと約束したじゃないか。男と男の約束を破ったな」って大将に怒ったんです。上島さんが怒った理由は男と男の約束を破ったから。「なるほどな」と思いました。結局僕が上島さんのツケを払った。その月からまた上島さんがツケで飲みに行くんですよ。出入り禁止にならない。こんな人いないですよ。それに、僕もいやな気分ではなくて。ダメ人間だけれど愛される人でした。
