「自分の体の声を聞くこと」が、健康への第一歩

先の30代女性のように、自分にとって「不要なこと」、むしろ「やってはいけないこと」を健康法として取り入れてしまうケースは、いたるところで見られます。

その大きな要因の一つとして、情報過多の時代において、「自分の体の声がどんどん聞けなくなっている」ということが関わっている気がしてなりません。

昔の日本人は、精米などせずに玄米を食べていました。米は贅沢品でもあったので、あわやひえなどの雑穀類もよく食べていたようです。それゆえ当時の日本人は、硬い穀類を分解する腸内細菌を多く持っていました。

(写真提供:Photo AC)

また、なかなか医者にもかかれず、薬が簡単に手に入らない時代に生きていた昔の人は、自分の体の声を聞く能力が高く、自分の感覚を司令塔として、体調に応じた調整ができていたと考えられています。

一方で、現代の日本人は、自分の体の声を聞くことが苦手です。

硬い穀物を分解する腸内細菌をほとんど持っていないのに、健康のためにと玄米を積極的に食べ、消化がうまくいかずにかえって体調を悪くしてしまう。そうした人が、現代社会には数多くいます。

このように、自分の体の声に耳を澄まさなくなった結果、「かえって体に悪いことを気づかずに続けている」のが現代人なのです。

そして、それに輪をかけているのが、テレビなどの情報です。

テレビで有名人が「**は便秘に良い」などと言っていたら、それが自分に合うかどうかを確かめもせず取り入れてしまう人が多くいます。

逆に、そうした情報に頑として耳を傾けない人もおり、それもまたやっかいです。