2度目の海外旅行は、カンヌ映画祭に『卑弥呼』(74年)で参加した時だとか。
――今度はヴェネチアの旅からかなり時が経ってるので、私、2年間フランス語を習ったんですよ。ですからカンヌの時は買い物も一人で行けたし、タクシーにも乗れました。
映画祭に出席するために、カンヌの美容師さんに髪を結っていただいたんです。その時、日本であらかじめ撮影しておいた髪形の写真を手渡したら、その通りにしてくれたんですけど、私が簪(かんざし)を10本持って行って「この中から1本選んでください」と言ったのに、どうしても10本挿したい、とその美容師さんが。
結局、花魁(おいらん)のイメージなのね。それで仕方がないんでそのまま10本挿して部屋に帰ったら、もう篠田が大笑いしてね。もちろん、彼に9本抜いてもらいましたけど。
そしたらパーティーでその美容師さんと一緒になっちゃって、「おお!」なんて指さして。きっとご不満だったんでしょうね。(笑)