家族を持って会話が大事と気付いた

とはいえ、実は私は結婚して自分の家族を持ってからようやく、家族の会話が大事なんだということに気付きました。それは、夫の家族を知ったから。

私は、5人きょうだいの真ん中でにぎやかな家で育ったはずなのですが、ある程度成長してからはお互いにあまり関心がなかったので、彼らがどんな学生生活を送ったのか、詳しく知らないんです。真里さんの家族ってどんな人?って聞かれても説明できない。ちょっと寂しいですよね。

夫の家族は両親と姉の4人だったのですが、とても会話が多かったそうです。初めて彼が私の実家に来てくれてみんなで食事会をした時、私の家族は食べ終わったらそれぞれの部屋に引き上げていくんです。私はいつものことなのでなんとも思っていなかった。でも夫はその様子にかなりびっくりしたそうです。結局残ったのは、夫と父(笑)。コミュニケーション力の長けた彼がうまく父を乗せてくれて、父も上機嫌になっていたのでうれしかったのですが…。父はきっと、それまでも誰かを相手にしゃべりたかったんでしょうね。(笑)

今、娘と同い年の子がいる一番下の妹とは、一緒に子育てをする仲間のような感じで、とても心強いのですが、小さいときはよく彼女をいじめてしまっていて…(笑)。母をとられたような気がしていたんですよね。何かあると母から「おねえちゃんなんだから」と言われ続け、その不満を妹にぶつけてしまっていたのだと思います。申し訳ないです…(笑)。それなのに、妹は女優である私を「憧れのおねえちゃん」と言ってくれているのは、ありがたいですね。

コミュニケーションが苦手なのは持って生まれた性格もあるかもしれません。小さいころから引っ込み思案で、自分から前に出ていくなんて考えもしませんでした。何を聞かれても返事は「はい」か「いいえ」(笑)。会話が続くはずもありません。

そんな私がいったいなぜ女優に? と自分でも不思議ですが、当時児童劇団に入っていた弟がテレビCMに出たりしているのを見て、テレビっ子の私は大好きなテレビに出ているのはすごいことだとうらやましかった。それで親に「私も劇団に入りたい」と申し出ました。人見知りな娘がそんなことを言ったもので、親は「少しでもこの性格が治るなら」と考えて応援してくれたのですが、そこからずるずると続いちゃって、今に至ります。(笑)

星野真里さん
「少しでも人見知りの性格が治るなら」と劇団に入ることを親も応援してくれて、そこからずるずる続いちゃって今に至ります(笑)(撮影:本社・武田裕介)