玄関扉を開けると

いやなことを言うなあ、と壮亮さんは暗澹とした気持ちになった。

あいつの家ならそんなこともあり得るかもしれない、と思ったのだ。

玄関扉を開けて現れたのは周平君のお母さんだった。やはりというか当然のように経文の書かれたTシャツを着ている。

「あらあ、わざわざありがとう。周平はいまちょっと挨拶できないんだけど、よかったらジュースでも飲んでいって」

壮亮さんが断るより先に、

「それじゃあお邪魔します!」

と豊君は家に上がる気満々で返事をしてしまう。

こうなってはしかたがないと、豊君と二人、玄関扉を潜った壮亮さんは絶句した。