誰かのすすり泣き

母親に手を引かれ、黒白縦縞の幕が下がった部屋に入っていった。

読経の声、線香のにおい、誰かのすすり泣き。

(写真提供:Photo AC)

白布をかけられた棺の中に、わけもわからず花を入れた。

指先で触れた頬はおどろくほどに冷たく、そのときになってようやく、自分はいま取り返しのつかない瞬間に居合わせているのだとの思いが、ひしひしと押し寄せてきた。

「葬式だったんです」

と壮亮さんは呟いた。

「それも、豊君の」