シミ、シワ、抜け毛、むくみ、難聴、倦怠感、物忘れ――。それらの不調の原因は血流不足かもしれません。私たちの健康を司る血管寿命を延ばすには、消失した毛細血管を復活させることが必須です(構成:内山靖子 イラスト:銀杏早苗)
第2段階までに早めの対策を
前編であげた不調に当てはまる、また、「指つまみテスト」で思わしくない結果が出てしまったとしても諦めることはありません。なぜなら血流をよくすることで、途切れてしまった毛細血管を伸ばしたり、硬くなってしまった血管をしなやかに若返らせることができるからです。
血管は4つの段階を経て衰えていきます。まず第1段階は、毛細血管の劣化による「なんとなく体調が悪い」といった心身の不調です。
第2段階は、動脈や静脈などの太い血管で動脈硬化が進んで血流が停滞。健康診断で、血圧や血糖値、コレステロール値が「再検査」「要治療」と指摘されるようになります。
第3段階では血管の「石灰化」が起こり、狭心症や慢性腎臓病のリスクが増大。
第4段階になると、血管が詰まったり破れたりするなどして、心筋梗塞や脳卒中、くも膜下出血などの致命的な病気に至ります。
これらを食い止めるには、第1、第2段階までに対策を講じることが重要です。
私が勤める愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センターでは、血流をよくするための運動や食事のアドバイスを行っています。
特に「運動」は、全身の血流改善に欠かせません。なぜなら私たちの心臓は、体を動かすと血液中の栄養や酸素が不足しないように拍数を増やして、より多くの血液を全身に送り出す仕組みになっているからです。
こうして活発になった血流により、ゴースト化していた毛細血管にも血液が流れ込みます。運動を継続することで、消失していた毛細血管が復活していき、再び血液が全身に行き渡るようになるのです。