「だめ」と言われたことがなかった

確かに私は母から「だめ」と言われたことがありません。どんなことでも、母は私のやりたいようにさせてくれた。進路にしても何にしても母が意見を言うことはなくて、全部、私の望み通りに自由にさせてくれました。北京への里帰りのときに母はこうも言いました。

「子供の前に立って、『こっちに来なさい』と引っ張ったり、『そっちはだめ』と制したりするのは簡単です。でも、親が立つのはそこじゃない。子供の後ろに立つんですよ。後ろに立って、子供が何をしたいのか、どこへ行きたいのか、彼らの見ている方向を一緒に見る。そして、うまく行くように応援するだけでいい。それが親の務めです」

『本当に大事なことはほんの少し~料理も人生も、すべてシンプルに考える生活術』(著:ウー・ウェン/大和書房)

子供の教育というのは、母のこの言葉に尽きる気がするのです。

以来、私も「だめ」と言わなくなりました。「友達をうちに連れてきてもいい?」と言われれば「どうぞどうぞ」。いつ何人来てもおやつやごはんを出せるように、いつも用意していました。