もう、必死にやるしかない

面接官が3人いて、まわりはみんな、お父さんとお母さんと子供の3人連れ。うちだけが母娘ふたりです。娘もすごく心細かったと思う。質問じたいは「どうしてこの学校を選んだのですか」という素朴なものでしたが、私はなんだか涙が一気に溢れ出て。

「この子は去年の今頃、父親を亡くしたんです。私は外国人ですが、娘をどうしても立派な人間に育てたいんです。この学校は女性を自立させるための学校と聞きました。自分の力は小さいですから、学校に力を借りたいのです。いろいろなことを学校に教えていただきたいんです」。涙が止まらないまま、気がつくと必死に話していました。

親は子供の未来を奪うわけにはいかない。子供が行きたい学校があるなら、もう、必死にやるしかない――。そんな気持ちだったと思います。

娘も息子も、幸い本人が望む学校へ進むことができました。友達もたくさんできて、社会人になった今もうちに遊びに来てくれます。人の輪の中にいる子供を見るのは、親としていちばんうれしいことです。

※本稿は、『本当に大事なことはほんの少し~料理も人生も、すべてシンプルに考える生活術』(大和書房)の一部を再編集したものです。

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