いつかは「わからない」若者が出てくる

野宮 清水さんも、いまのお仕事はラジオから始まったの?

清水 私は構成作家とおしゃべりと、両方やっていたのね。当時は東京で録った音源を地方に送るシステムだったんだけど、そこから名前が少しずつ出るようになって。

スー テレビに出演されるようになったのは、いくつくらいだったんですか?

清水 27とか28だったと思う。渋谷ジァン・ジァンでやっていたライブをテレビ局の人が見にきてくれて、それで声をかけてもらった。

スー 次々やってくる船に、きちんと乗れるところがすごいです。

清水 ラジオで「あのコントが面白かった」って葉書をもらった時、うれしくて。ライブをやったらもっと大きな快感があった。だからテレビはそれ以上の手ごたえがあるんじゃないかと思って、出てみたの。

スー 野宮さんは回り道なく歌手一本できてらっしゃいますけど、ピチカート・ファイヴに入ったのは、30歳くらいですよね?

野宮 あの頃は年齢非公開で、結婚や出産をした時も、プライベートはまったく表に出してなかったのね。デビューは21だから、売れ出した年齢は当時としては遅かったと思う。

スー 一緒にさせていただくのはおこがましいんですが、「これが私の仕事だ!」と未来が見えてきた年齢は、3人とも遅めなんですね(笑)。ただ、ある程度の年齢になってから自分の居場所が定まるほうが、調子に乗ることなく、粛々と仕事に取り組めるような気がしますね。私が20代でこの仕事に出会っていたら、相当イヤなやつになってたかもしれない。(笑)

野宮 私も売れない10年間があってからのピチカートだったから、浮わついた気持ちがあまりなかったのかも。音楽でファンを盛り上げたいっていうシンプルなことしか考えてなかったから。ワールドツアーをして、どこの国でもソールドアウトになっていたのは、いま思えば大変なことなんだろうけどね。

清水 いまの10代は、昔と違って一般人からどんどんスターが生まれるね。YouTuberとか。

スー あ、いまYouTuberで思い出したんですけど、テレビの世界って、昨日まで無名だった人がある日を境に突然あちこちの番組に出ていることがよくありますよね。そこがラジオと決定的に違うなと思って。野宮さん、フワちゃんという人、わかります?

野宮 フワちゃん? ごめんなさい、わかんない。

清水 あれ? 知らない? 20代くらいのタレントさんで、彼女のYouTubeがすごい再生回数なんだって。ちなみにスーさん、「フ」にアクセントじゃなくて、「ワ」のほうだから。(笑)

スー え、そうなんですか。もはや読み方すらわかってない……。46の私にも、ついにわからない若者が出てきたってことですね。