野宮 私は、バブルの頃が一番貧乏だったの。給料9万円で、家賃5万円の部屋に住んでたから。

清水 え、じゃあ生活費4万円?

野宮 さすがに生活が苦しいじゃない。だから鈴木慶一さんにライブの打ち上げに誘ってもらって、そこでお酒を飲んだりごはんを済ませたりしてた。やっぱりお洋服が買えないことが一番つらくて、いろいろ工夫してました。カーディガンを後ろ前に着てみたりとか、ボタンをつけ替えたりとか。

スー その頃の工夫がいまに生きてるんですね。

野宮 おしゃれは自尊心とイコールだから、なんとかやりくりしてた。

スー 私が子どもの頃の30~40代、つまり親世代は肩パッドが入ったブランドものの服を着て、フェンディのバッグを持って、「これさえ持っていればOK」というアイテムがありましたよね。俳優もいまよりずっと大人っぽかった。

野宮 確かに2000年代に入るまでは、「誰もがひとつは持っている」アイテムがあったね。

清水 じゃあ、いまのスーさんの世代に、強烈なファッションリーダーっているの?

スー そこなんですよ。最近のファッションリーダーって、みんな読者モデルだったり、インスタグラマーだったりするんです。

清水 そうか、一般人なのにおしゃれ、みたいな感じがトレンドなんだね。私は高校生の時、桃井かおりさんのファッションがすごく好きだったの。カーディガンと半袖ニットのアンサンブルとか、シンプルですごく都会っぽいなって。あとはやっぱりユーミンさん。

野宮 ユーミンさんはすごく足がきれいだから、いまもミニスカートが似合ってかっこいい。私はピチカートの解散後、ずっとミニを封印してたんだけど、昨年「野宮真貴、ピチカートを歌う」っていうライヴをした時に、久々に解禁したの。60歳を超えると不思議と似合ってくるんですよ。若い時とは違う「抜け感」が出てくる。これからはもっと穿いていきたいな。

スー いくつになってもファッションで挑戦していけるのは、かっこいいです。

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