おい…嘘だろ?

特にこれという情報もなく、仙太から「その大奥にいた大崎とかいう女、ほんとに芝居町にいんですか? 影も形も見当たりませんぜ」とたずねられた平蔵。

「しかし、今はそれしか手がかりがないからなぁ」とこたえながら、周囲を見渡します。

するとその近くを横切る、笠を被った人物に目を留めた平蔵。

「おい…嘘だろ?」と言葉を漏らすと、手にしていた蕎麦を屋台に戻し、慌ててその後を追っていきます。

丼を受け取った磯八は平蔵を見送ると、残った蕎麦をそのまますするのでした。