ヤッホー! 私は鳥になった。風に乗って、右に左に、自由に移動ができる…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは山形県の60代の方からのお便り。病気で車椅子生活となり、なんで私がこんな目に…と恨んだ日もあったといいます。それでも、車椅子の人でもできるという、パラグライダーを知り――。
車椅子で空を飛ぶ
数年前、突然の激痛に見舞われ、救急車で総合病院に搬送された。人工呼吸器とホルター心電図が装着され、指一本動かせない。口も麻痺して話すことができなかった。食事もとれず、経鼻経管栄養で生きる日々。聞いたことのない名前の病気は、私のほとんどの身体機能を奪ったのだった。
2年半の入院後、ようやく退院することができた。しかしその時は、車椅子に乗り、家族に介助されながらの状態。病気の前は富士山にトレッキングに行ったり、箱根のジップラインに挑戦したりとかなりのアウトドア派だったので、車椅子生活が決まった時には、大げさでなく「終わった」と思った。
そんな時偶然知ったのが、パラグライダーだ。なんと車椅子の人でもできるという。自宅からそう遠くない場所でやっているらしく、こんな好条件はない。
さらにネットでいろいろと調べて、チャレンジするべく、家族の承諾書やドクターの診断書などを準備し、予約まで取り終える。しかしパラグライダーは、天候はもちろん、風向きも大きく影響するので、そう簡単には決行できない。2度の予定変更の後、ようやく空を飛べる日がやってきた。
夫の運転で向かった目的地には、きれいな空が広がっている。ワクワクが止まらない。現地に到着し、私は係員の指示に従い、いよいよ機体に乗り込んだ。