セルフレジで焦ってしまう高齢者

セルフレジが普及する中、会計で手間取って焦ってしまったという声も多く聞かれる。このため、ゆっくり自分のペースで会計ができる「スローレジ」などの工夫が進んでいる。

「時間をくっちゃって、申し訳ないなと思うことがある。ここなら安心ですよね」(70代主婦)、「後ろからのプレッシャーを感じちゃって以前はレジが怖かった」(50代会社員)――。イトーヨーカドー八王子店(東京都八王子市)の食品売り場で、「おもいやり優先レジ」に並ぶ客の言葉だ。焦らず自分のペースで会計を済ませられると好評で、八王子店では数年前から取り組んでいる。

『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』(著:白鳥和生/朝日新聞出版)

イトーヨーカ堂全体では小規模店を除き午後2〜4時に数レーンを優先レジとしているが、八王子店は終日運用する。八王子市の高齢者あんしん相談センターと連携し、認知症の人に売り場で困ることや、表示・陳列で改善してほしい点を指摘してもらう機会も設けた。

身体機能の低下や認知症などで買い物ができなかったり、買い物に不安を抱えたりする高齢者は多い。安心して買い物をしてもらうため、スーパーマーケット各社が取り組むキーワードが「スロー」だ。