案内を床面表示に変えた理由

一方、売り場づくりからも高齢化が見えてくる。マーケティング会社のクレオがアイトラッキング(視線を追う装置)を顧客につけてもらった調査によると、30〜49歳のPOP(店頭販促)広告の視認率を100としたとき、65〜69歳は69、70〜74歳は68の水準にとどまったという。

このような結果を踏まえ、目線が下に行きがちな高齢者向けに、陳列棚の商品ジャンルを大きく床に表示する工夫を施した店舗も出てきている。

マックスバリュ東海は2024年3月、鈴鹿店(三重県鈴鹿市)に商品分類のフロアサインを設置した。どこに商品があるかを示す案内表示は天井から吊るされているものが多いが、鈴鹿市認知症連絡会から床面表示の提案があり、試験的に導入することにした。

認知症の人だけでなく、高齢者から子どもまで、あるいは海外で生まれ育った人も含めて誰もがわかりやすい売り場づくりは、多様性が求められる時代に沿ったものだ。視認性の向上は、品出しや来店客への案内など、従業員の働きやすさにもつながるはずだ。

※本稿は、『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

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なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』(著:白鳥和生/朝日新聞出版)

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