私たちの食を支えるスーパーマーケットについて、流通科学大学商学部経営学科教授・白鳥和生先生は「社会を映し出す鏡のような側面もある」とし、「スーパーマーケットの売り場は社会的・経済的な課題を映し出している」と語ります。そこで今回は、白鳥先生の著書『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
日本の食卓で進む「肉食化」と「コメ離れ」
数年前、炭水化物をできるだけとらず、たんぱく質を積極的にとるダイエットが流行した。それを反映してか、日本の食卓では「肉食化」と「コメ離れ」が進んでいる。
日本はバブル期だった1980年代後半、GATTウルグアイ・ラウンド交渉で牛肉の輸入自由化を決めた。博報堂生活総合研究所が「2024年にはハンバーガーやステーキ好きの60代が増える」とするレポートを2016年に発表したが、新たな食生活を謳歌した世代はシニアになっても肉食を続けている*1。
総務省の家計調査(2人以上世帯)で、2001年から2024年の食品支出の変化を調べてみると、肉類は約30%増の10万円となった。対照的に支出額が減ったのが「和食」の代名詞ともいえるコメと魚だ。コメは約29%、魚は約31%それぞれマイナスとなった。
*1…博報堂生活総合研究所「増加するハンバーガーシニア」2016年1月26日
https://seikatsusoken.jp/report/166/