令和のコメ騒動が起こった理由

2024年の夏以降、スーパーマーケットで精米コーナーの棚が空になり、「コメが高い」「手に入らない」との声が広がった。背景には記録的な猛暑による高温障害と天候不順がある。特に東北や北海道といった主産地でも登熟不良が相次いだ。

さらに「物流の2024年問題」による集荷・配送の遅れがある。コメは在庫として存在していても、都市部の売り場に届かない事態が起きたのである。

(写真提供:Photo AC)

この「コメは余っているはずなのに、なぜ買えないの?」という疑問こそが今回の騒動の核心だ。家庭内炊飯向けの需要は減少している一方、弁当や惣菜、パックご飯など調理済み食品の需要は底堅く、むしろ伸びている。

しかし、農家が作付けする品種と、外食・中食業界が求める「大量調理・長時間保存に適したコメ」は一致しにくい。そのため余剰在庫はあるのに、使えるコメが足りないという需給ギャップが生じた。