コメは単なる主食にとどまらない

さらに制度疲労も重なる。かつての食糧管理制度の廃止後、政府は市場の需給を把握しづらくなり、備蓄米も業務用途に合わない品種が多い。輸入米はミニマム・アクセス枠に限られ、円安や国際競争でむしろ高値になりがちだ。

「令和のコメ騒動」は単なる不作ではなく、制度・物流・流通構造のほころびが一気に露呈した出来事であった。

コメは単なる主食にとどまらず、食の基盤であり社会課題の鏡であることを、あらためて私たちに突きつけた。

※本稿は、『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

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