私たちの食を支えるスーパーマーケットについて、流通科学大学商学部経営学科教授・白鳥和生先生は「社会を映し出す鏡のような側面もある」とし、「スーパーマーケットの売り場は社会的・経済的な課題を映し出している」と語ります。そこで今回は、白鳥先生の著書『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
イオンが一大勢力、専業ではライフが首位
スーパーマーケットをチェーン展開する企業を見ると、総合スーパーやショッピングセンターを展開するイオンは、グループ内に「マックスバリュ」などの屋号のスーパーマーケットを約2200店(海外では130店舗)持つ一大勢力だ。イオンといえば大型店がイメージされるが、都市部では「まいばすけっと」や「アコレ」といった小型店も店舗網を拡大中だ。
コンビニに比べ生鮮食品や格安PBを充実させた「まいばすけっと」(東京・中野の店舗)(写真提供:朝日新聞出版)
コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」が稼ぎ頭のセブン&アイ・ホールディングスも「ヨークベニマル」や「ヨークマート」「ヨークフーズ」など有力スーパーマーケットを持ち、東日本で高い知名度を誇る。
スーパーマーケット専業では、近畿圏と関東圏を地盤とするライフコーポレーションが首位に立つ。そしてイオン傘下のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)が2位。
これに北海道・北東北が地盤のアークス、東北・北関東のヨークベニマル、首都圏のヤオコー(ブルーゾーンホールディングス)、ホームセンターやスポーツクラブなども手がける中部地方のバローホールディングス、近畿の平和堂や万代、総合スーパーからスーパーマーケットに軸足を移した中国・四国地方のフジ、九州にも勢力を伸ばすイズミなど、特定地域に集中して出店するドミナント戦略をとるチェーンが続く。
また最近はオーケーやロピア、トライアルホールディングスといった、より低価格を打ち出すディスカウント型スーパーマーケットが上位企業を猛追している。
<『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』より>