在宅ケアを利用しているケースでも…

自宅で突然亡くなった場合だけでなく、在宅ケアを利用しているケースでも、体調急変時の状況や時間帯などによっては医師による看取りができず変死事案となり、警察が呼ばれることがあります。家族によっては身内が亡くなってショックを受けているのに、「なんで警察が突然上がり込んできて、根掘り葉掘り聞いてくるんだ……」と文句も言いたくなるでしょう。

これからの時代は、終末期の看取りを病院でなく自宅で行なうことも増えてくるのでしょうが、自宅での看取りは状況により警察の検視が必要になります。

『検視官の現場-遺体が語る多死社会・日本のリアル』(著:山形真紀/中央公論新社)

他にも、警察による検視が必要だと知らないがために、先に葬儀会社が呼ばれてしまっていたり、環境捜査で多くの関係者に話を聞く必要があり、その内容がプライバシーに関わる部分も多いため、「なんでそんなことまで聞くんだ」とトラブルになったりすることもあります。

検視には時間がかかるので、一旦遺体を署に持ち帰り、後で家族に返すこともあります。家族からすれば、「なぜ遺体を持っていくの?」と思うでしょう。