「余生」が長くなり、必要な老後資金も……

ところが長寿化が進むにつれて様相は変わっていきます。

会社が終わってからの人生、「余生」が長くなっていったのです。

『これだけ差がつく!老後のお金 55歳から15年で2500万円をつくる』(著:首藤由之/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

定年は1980年代には「60歳定年」が主流になり、2000年代に入ると「65歳までの雇用」が当たり前になっていきます。

一方、寿命の延びも半端ではなく、必要な老後資金はどんどん膨らみます。

「必要な老後資金は『1億円』」という“脅し文句”をご存じでしょうか。

60歳定年で90歳まで生きるとすると、リタイア後の期間は30年です。毎月の夫婦の生活費を30万円に設定すると、

30万円×12カ月×30年=1億800万円

と必要資金は1億円の大台を突破します。

こういう数字を見せたうえで「1億円」を準備しないと老後は安心できないと、金融商品をすすめたりする人や企業があるのです。

「1億円」と聞くと「とてもそんなお金は準備できない」と絶望的になってしまうのもうなずけます。金融商品を買わせる商法としては絶妙です。