昭和からの脱却

人生100年が語られるようになってから、「長生きリスク」で普通の家計が老後破綻に陥るシミュレーションケースをよく見かけるようになりました。

その一つとして、ファイナンシャル・プランナーの団体である日本FP協会が発行しているマネー小冊子「今からはじめるリタイアメントプランニング」に掲載されているケースを挙げることができます。

このケースでは、夫が会社に勤め、妻は専業主婦の共に50歳の夫婦を想定。夫は60歳で定年、継続雇用後に65歳でリタイアすると家計の貯蓄が80歳で底をつくのです。こう紹介したうえで、次のような趣旨のことを述べるのです。

「旧世代の典型的なライフプランで考えると、これからの世代がセカンドライフを乗り切ることは難しくなることが予想されます」

本記事の主張は、この「旧世代の典型的なライフプラン」を脱却すべき、というものです。

もっというと、ステレオタイプに「リタイア前」と「リタイア後」に人生を二分する考え方はやめようと提唱します。

なぜでしょうか。

これからは「老後のお金の準備」についての考え方も根本的に変わっていくと思うからです。

当然です。60歳定年、その後65歳まで継続雇用で働くとしても、それまででできる準備では、それから亡くなるまでに必要な資金を賄うことはできなくなってきているのです。

そんな時代に、「リタイア前」「リタイア後」といった従来の概念にとどまっていては道を間違えてしまいます。