リタイア後の老後資金をめぐる本当の危機はこれから
日本人を世代別に見ると、「年功序列的賃金」の期間を長く経験した人ほど「より高い生涯賃金」を獲得できています。
バブル崩壊の影響が賃金にまで影響するようになるのは90年代半ば以降ですから、その時にどこまで賃金アップを経験できていたかが、その後の「生涯賃金」のカギを握ります。
今70代後半の団塊世代はその時、すでに40代後半に達していました。20年以上、賃金アップを経験済みで、賃金ベースは相当高いところまできていたはずです。しかもいったん上がった賃金を急に下げるわけにもいきませんから、中高年以降もその世代は比較的高い賃金水準を保ち続けたと見ていいでしょう。
それが世代が下がるにつれ、年功序列による賃金アップを経験した年数が減っていきます。現在、65歳の人は低迷期が始まるころは35歳前後ですから10数年、今60歳の人は30歳前後なので5年強です。
その下の55歳くらいからは「就職氷河期」世代に入っていくので、そもそも賃金アップをあまり経験しなかった世代になります。
まさにこれからリタイア後に向かっていく世代が、老後資金の準備が満足にできなかった人たちなのです。
それも年を追うにつれて不足度合いが強まるはずです。
そうです、リタイア後の老後資金をめぐる本当の危機はこれから始まろうとしているのです。
※本稿は、『これだけ差がつく!老後のお金 55歳から15年で2500万円をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
『これだけ差がつく!老後のお金 55歳から15年で2500万円をつくる』(著:首藤由之/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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