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体力がないせいで就職できず文筆家になった<終電を絶対に逃さない女>さん。20代ながら、初老みたいな体に、次々と降りかかる謎の不調。病院でも原因がわからず、筋力がないので疲れやすい。そんな「虚弱な」日常をSNSでつづったところ、似たような体質な人から多くの共感が寄せられました。「21歳で身体にガタがきた」という著者のエッセイ『虚弱に生きる』から一部を抜粋して紹介します。

幸せって、健康のことだったんだ

寝ても寝ても猛烈に眠く、嵐の中で立っているみたいに、眠気の中で身体を縦にしているのがやっとで、何もできない。

初めての単著の原稿の締切が迫っていた二〇二二年の七月。なぜか過眠に拍車がかかり、藁にもすがる思いで始めたのがラジオ体操だった。

以前からラジオ体操の健康効果の評判は知りつつも、東京の自宅が狭すぎてできなかったのだが、この時は母方の広い祖父母宅に滞在していたため、思いきり身体を伸ばすことができた。

子供の頃は何ともなかったはずのラジオ体操第一で息切れしつつ、朝晩一回ずつやったところ、翌日は自分の身体とは思えないほど全身が軽かった。

それまでもストレッチや軽い筋トレで同等の効果を得られたことはあったものの、習慣化はできていなかった。その点ラジオ体操はYouTubeであの音声を再生さえすれば身体が勝手に動いてくれるので、いつの間にか三分が過ぎていて楽だった。

ラジオ体操を数週間続け、背中の痛みなどは軽減したものの睡眠とメンタルの調子は悪く、原稿の進捗が芳しくないまま締切まで一ヶ月を切った八月。どうすれば健康になれるのか、頭を絞った結果、きちんと朝食を摂ることにした。