「見ること」と「呪い殺すこと」との密接な関係

まず、映画『リング』では幼少期の貞子が透視能力の公開実験に臨んでいた母親・志津子〔演:雅子〕を罵った男性記者を呪い殺した過去が描かれ、貞子の能力は「念じるだけで人を殺せる」という恐ろしいものであると分析された。

続篇『リング2』〔1999年、監督:中田秀夫〕で貞子の怨念に取り憑かれた浅川の息子・陽一〔演:大高力也〕が警官たちを睨みつけて殺そうとしたり、前日譚『リング0~バースデイ~』〔2000年、監督:鶴田法男〕では劇団の研究生であった生前の貞子〔演:仲間由紀恵〕に稽古中の姿をじっと見つめられていた看板女優・葉月愛子〔演:奥貫薫〕が怪死したりするなど、「見ること」と「呪い殺すこと」との密接な関係を見出すことができる。

さらに言えば、『リング0』は貞子の目の超クローズアップから彼女の物語を語り始め、舞台の本番中に志津子の透視実験の録音テープが再生されたことによってパニックを起こした貞子が能力を暴走させてしまうとき、カメラは涙をいっぱいにためた彼女の目をクローズアップで映し出す。

彼女の能力に恐怖した劇団員たちの手で殺されたはずの貞子が蘇生し、父親によって隔離されていた「もう一人の貞子」との融合を遂げると、森をさまよう劇団員たちは貞子に見つかった者から順番に呪い殺されていくのである。