〈本日徹子の部屋に相田翔子さんが登場。夫・相沢英之さんを送った姑・司葉子さんの現在の様子を語っています。そこで、夫の一周忌を迎えたばかりの司葉子さんにインタビューした、『婦人公論』(2020年5月12日号)の記事を再掲します。〉
愛書家の家族が亡くなると、蔵書の始末に悩む人は多い。先ごろ、夫の一周忌を迎えたばかりの女優・司葉子さんもそのひとりだ。大蔵官僚から政治家に転身し、活躍した相沢英之さんの本を、いまも整理できずにいるという──(構成=篠藤ゆり 撮影=宮崎貢司)
喪失感と疲れから糸が切れたように
庭の満開の桜を見ると、毎年開花を楽しみにしていた夫のことを思い出します。
亡くなった2019年4月4日は、庭全体が燃えるようなピンク色に染まっており、思わず悲しさを忘れて見とれるほどの美しさでした。でも今年の桜は、なぜか花びらが白くて……。色が変わってしまったのは、何か意味があるのかもしれませんね。
この2年間で、私は夫だけでなく、周りの大切な人を次々と亡くしました。一昨年は大阪で暮らしていた姉を、その数ヵ月後には親友の小林比奈子さんを。ひなちゃんは高校時代の友人なのですが、私が映画の世界に入ってからは付き人になってもらったので、どこへ行くのにも一緒でした。撮影現場への送り迎えや仕事にまつわる雑務、家の中のことまですべて担ってくれていましたから、自分の体の半分を奪われてしまったように感じたものです。そして夫を見送った1ヵ月後には、長男が血液の病気で亡くなって──。
続けて4人も失ってしまったショックが大きすぎて、自分の中の糸が切れてしまったのでしょう。眠れない日が増え、体も思うように動かなくなって入院しました。幸い大きな病気ではなかったものの、入院中は「あの家で、この先一人で暮らしていけるのだろうか」と不安に襲われる日々でした。
自宅は、もともとあった私の家を建て増ししたもので、一人で住むにはあまりに広く、家具や物も多い。庭も広いですし、これまでのように庭木の面倒をみられるとは思えませんでした。
ところが、退院の日に病院から直行した美容院で、2020年の占いが載った雑誌を手に取りました。私の誕生月である8月生まれのところの運勢を読んだら、「20年は生涯で最高の一年になります」と書いてある。うれしかったですね。それを見た瞬間、すっと心が晴れたようになり、「ああ、救われた」と感じました。それからは体調も少しずつよくなっていき、元気を取り戻していったのです。