50年ぶりの新幹線
アルバムを整理していたら、大型で横に長いリュックサックを背負った夫と私の写真が出てきました。ともに20代、結婚してすぐのころに行った京都旅行の写真です。そのリュックを背負って旅に出る人たちのことを、当時は「カニ族」と呼んでいました。今から50年前のことです。
二条城や渡月橋を背景に、写真に収まる若き日のふたり。当時の記憶が懐かしくよみがえりますが、ひとつ、どうしても思い出せないことがありました。それは京都までの移動手段が何であったか、ということ。
私だけでなく、夫も覚えていないと言います。おそらく新幹線を利用したのでしょう。そう思ったとき、私たち夫婦はこの旅行を最後に、50年以上新幹線に乗っていないことに気がつきました。
先日、近所の奥さんが、娘さんと一緒に北陸新幹線で金沢に行ってきたと聞いて、「私には無理」と思っていたところでした。新幹線ってどうやって乗るの? 駅で切符を買えばいいの? それってどこの駅でも買えるの? もはやまったくわかりません。
ですが、意を決して新幹線で京都に行ってみることにしました。私と夫は大河ドラマがきっかけで、歴史にどっぷりハマっています。京都にあるたくさんの史跡を、足腰が元気なうちに巡りたいと思ったのです。
さっそく夫がスマホで新幹線の乗り方を調べはじめました。最初は「さっぱりわからん!」と投げ出してしまいそうでしたが、何度もチャレンジした結果……やがて「予約が取れた!」の声が。
ついに私たちは50年ぶりに新幹線に乗ることができました。駅のプラットホームに立つと、新幹線が次々と現れては、ものすごいスピードで消えていく。圧巻の光景です。
今回の旅では、戦国武将にまつわる史跡を巡ることにしました。大坂冬の陣のきっかけになったと言われる方広寺の鐘を見たり、本能寺の跡地を見学したり。あれもこれも見てやろうと、琵琶湖方面にも向かい、歩きに歩きましたが、それでもまだまだ行きたいところはたくさんあります。
夫婦ともに70代。元気なうちにと、次なる京都旅行を計画中です。今度は新選組ゆかりの史跡を巡る旅を予定しています。