打開策は……
打開策としては、まず「役職ごとの業務量と手当」を見える化し、責任と報酬のバランスを整えることが第一歩です。
たとえばユニットリーダーには管理業務を集中させ、夜勤を大幅に減らす代わりに手当を2万円以上に設定するなど、メリハリをつける必要があります。さらに、専門スキルを伸ばした職員を横方向でも評価できる仕組みが不可欠です。レクリエーションリーダー、嚥下ケアスペシャリスト、ICTスーパーバイザーといった“職能認定制度”を設け、等級ごとに手当を支給すれば、「自分の得意分野を伸ばせば収入も上がる」という明確な動機づけが生まれます。
加えて、資格取得を後押しする実質的な支援が求められます。
研修費用の立て替え制度、勤務扱いでの研修参加、合格後の昇給保証をパッケージで提示すれば、若手は中長期のキャリアを描きやすくなります。最近では、法人単位でオンライン講座を契約し、勤務後に施設内で無料受講できる環境を整える事例も増えています。学びのコストを“時間”と“お金”の両面で下げることが、キャリアパスを実効的にする鍵です。
キャリアパスの不透明さは、現場のモチベーションを静かに削る見えにくい課題です。
しかし裏を返せば、階段の形と報酬の連動を整えるだけで、職員は「ここで成長できる」「長く働ける」と確信を持てます。介護が専門職として真に選ばれる産業になるためには、「上を目指すほど報われる」「得意を深めるほど評価される」――そんな当たり前の設計図を現場に示すことが、何よりも重要です。