「紙が指についてきていますね」なんて言われたり。紙の特徴を捉えていますね、みたいな意味だと解釈しています。先生がご自分の作品をニスで固めたオブジェも見せてもらったりして、貴重な体験でした。

その後、僕も仕事が忙しくなって、結局お会いしたのは一回きり。でもこの日学んだこと、見たことすべてが、のちの自分の作品に生きていると思います。

人の顔って、目が2つあって、真ん中に鼻、下に口がある。パーツは一緒なのに、全世界に80億以上の顔が存在するんですよね。「顔」のモチーフは尽きることがないし、同じ人の顔でも眉を上げるかどうかだけで表情が変わります。顔って面白い、すごく広いテーマだなと思い、一人で試行錯誤しながら折り顔作家として歩み始めたわけです。

本を書きませんかと依頼がきた時にも、「実はおりがみで顔を作っていまして」とアピール。ありがたいことに出版社の人が興味を持ってくださったので、『折り顔』とタイトルを付けた本が1994年に世に出ました。ヨーダ、タモリさん、筑紫哲也さんなどをモチーフにした45作品を、エッセイとともにまとめた一冊です。