現在放送中のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で時代考証を担当している駿河台大学教授・黒田基樹先生は、「秀吉も一代で天下人に成り上がるほど有能な人物であったとみなされるが、それを支えた秀長も、相当に有能な人物であったことが認識される」と語り、その政治手腕に注目しています。そこで今回は、黒田先生の著書『秀吉を天下人にした男 羽柴秀長 大大名との外交と領国統治』から抜粋し、再編集してお届けします。
秀長についての研究は十分におこなわれてこなかった
羽柴(豊臣)秀長(1540〜91)は、羽柴(豊臣)秀吉(1537〜98)の唯一の実弟にあたる。そして秀吉の「名代」(代行者)を務め、秀吉のよき「補佐役」として知られている。しかし秀長が具体的にどのような動向をみせていたのかについては、多くの方々はあまり知らないのではないだろうか。「補佐役」と表現されてはいるものの、具体的にどのような動向からそのように表現できるのか、十分には認識されていないように思われる。
しかし、それもそのはずである。なぜなら秀長についての本格的な研究は、これまで十分におこなわれてきていないからである。そのため秀長の具体的な動向や、「補佐役」とされる内容が不明瞭なのは、当然のことなのである。
そうしたなか、2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の放送と、主人公が秀長となることが公表された。私は同ドラマで時代考証を担当することになった。それをうけて秀長に関する史料を可能な限り蒐集し、その動向を明らかにする検討に取り組みはじめた。その結果、ようやく秀長の生涯の全容と、その動向が具体的に明らかになったのである。
その生涯の概略を記してみよう。