自分に正直でありたい

寂しい気持ちや孤独感、不安や怯えに逆らい、ことさら元気をアピールする必要はまったくないと思っています。私は子どものころから悲観的な子でした。たいてい、ものごとをネガティブに考えてしまう。その癖は一生、治らないでしょう。だからその通りの小説を書きます。世間の価値観に合わせたような嘘は書きたくない。私の作品は決してポジティブではありませんが、それでも何かを表現できている、大切なことは肯定できている、と確信してもいます。

そして、これも昔からのことなのですが、仕事では決して無理はしません。私の場合、たとえ編集者や出版社に義理があっても、自分の体力精神力を使い果たすような無理な仕事やスケジュールを引き受けることは、まずしません。疲れている時は休みます。仕事から意図的に離れます。自分のペースを大事にします。もちろん約束や〆切は守りますが、守れなくなりそうなほど、倒れそうになるほど予定を詰め込むことはしません。そうやって、これまでずっと、わがままに仕事してきました。

夫が生きていたころから変わっていませんが、ずっと、静かな地味な生活を続けています。スーパーにまとめて買い出しに行くのは週に1度か2度。基本、家にいることが好きです。日に2度の食事は手作り。1人になってからも変わりません。手のこんだものは面倒なので作りませんが、栄養のバランスのとれたものを有り合わせの材料で手早く作るのが得意。

散歩はごくたまに。身体を動かすのはもっぱら自宅で。家には老猫が1匹。外にはたくさんの野良猫たちが集まるので、毎日世話をしています。どうしようもないインドア派なんです。(笑)

『ウロボロスの環』書影
ウロボロスの環』(著:小池 真理子/集英社)
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