世界をつなぐ横糸としての「和の心」

さまざまな考え方があるとは思いますが、おおむね西洋文明の世界では、全能の神がこの世を創造し、自分に似せて人間を創り、人間に利用させるために自然を創ったという、「神→人間→自然」と3者を縦関係に捉えています。

神に最も近い生き物である人間は、自然に挑み、開拓し進化を成し遂げてきました。

人間同士の間でも、競争の中でより優れたものが出現し、進化の方向に世界を牽引した。それは前へ前へと、個々が前進し続ける時代でした。

でもその結果、気が付けば、国同士の、あるいは人間同士の分断、格差を生んでしまったように思います。

日本の伝統文化など日本文明の根底に流れる思想は、万物に神様が宿ると信じ、自然や人との共生、調和を重んじるという和の心です。それは、神と人と自然が同列でめぐる関係です。

縦糸ばかりが伸びていく現代社会を、束ねる横糸としての役割が、日本文化に期待されているのです。

そして、和の心は「争いを避けること」ではなく、「違いを認めながら調和させる」積極的な姿勢です。例えば、「唐草文様」という着物の文様は、ギリシャのパルテノン神殿(紀元前5世紀)に由来しますし、そもそも着物自体も中国の「呉」時代の服に由来するから「呉服」と呼ばれるのです。日本では古来、多様な外来文化を拒まず受け入れ、変容させ、自国の文化として育ててきたのです。

国と国、人と人の間に橋をかけるのは、武力でも経済力でもありません。相手を理解し、尊重し、活かし合う心──それこそが「和の心」なのです。