騎馬民族から絶え間なく受ける圧力
中国がハイリスク社会なのは、大陸に根づく農耕民族であることが根本にある。
中華文明は、約1万年~8千年前の新石器時代に、農耕稲作・土器の製作・定住生活という「三つの進化」を実現したことによって勃興した。そこから「古代世界四大発明」と呼ばれる火薬・羅針盤・紙・印刷術をすべて発明した中華文明が花開いていったのだ。
しかしながら、中華文明には致命的な欠点があった。農耕民族の漢民族は、基本的に耕作地を離れられない。そのため、不意討ちしてくる騎馬民族に対して、おしなべて弱かったのだ。
「中原の民」は、自己の文明を誇り、中華思想を信奉した。周囲は自分たちより文明の劣る野蛮な輩――東夷・西戎・南蛮・北狄と呼んで蔑んだ。実際、彼我の文明の差は歴然としていた。
それでも、文明の程度と戦闘能力とは、必ずしも一致しない。そのため中華民族は、周囲の異民族を畏怖してもいた。