土方巽さんは『闇の中の魑魅魍魎』という、幕末の天才絵師・絵金の映画にご出演なさってますね。
――それと篠田正浩監督の『卑弥呼』や、小川紳介監督の『1000年刻みの日時計 牧野村物語』などにも出て、映画の中で踊ってるんですよ。土方さんと共演した三國連太郎さんが、「あの方は、すごい人だと思った……」とテレビで言ってらしたのを僕は偶然見ていました。
その三國さんが、『たそがれ清兵衛』で僕が賞をいただいた授賞式で、僕のそばに来て「よかったよー」って褒めてくださった。なんだか、僕は一気に俳優さんたちの世界に引き込まれた気がしましたね。
話は前後しますが、だから土方さんが「やってみたらいいんじゃないか?」って言ってるように思えて出演した気がします。
大体、僕が踊りを選んだ一番の理由は、しゃべるのがすごく苦手で。学校で先生に指されて教科書を読まされるのも苦痛だった。自分の感覚に夢中になって、一人で自然の中で遊んでいるような子どもだったんで、言葉をしゃべる仕事には一生関わらない、と思ってたんですけどね。
そういう泯さんのこれまで生きてこられた顔と姿の静かな佇まいが、台詞よりも鮮烈にあの人物を物語っていました。骨壺の骨をポリポリ食べる場面は、鬼気迫るものがありましたね。
――実は、あれは早逝した僕の弟の本物の骨なんです。僕よりはるかに感覚の秀れた弟でした。彼のセンスには勝てないとずっと思っていましたから。彼は料理人の道に進んで40代で亡くなった。この弟が「寅さん」の大ファンだったこともあって、山田監督に相談して、弟の骨を入れさせてもらったんです。
僕も命懸けで挑んでいたから、監督とカメラマンの六さん(長沼六男さん)以外は知りませんでした。真田さんの清兵衛といよいよ立ち合う前、骨を食べるシーンがあるわけですが、あ、いや、これ、書かないで……。いや、供養だからいいかな……。