伝統の踊りを初めて学んで

そして最近出演された映画『国宝』は、第3の転機になりえたのだろうか。

――ええ、あくまでこのテーマの中で伝えられるトピックスとしての僕のキャリアでしかありませんが……こんな転機が最近になって訪れるとは思いませんでしたね。

映画で『鷺娘』を踊るに当たって、振付の谷口裕和先生に日本舞踊を3ヵ月くらい一から習いました。踊りといっても基本から違うし、身体の筋肉の使い方、特に女形は肩を柔らかくしないといけないなど、いろんな条件があります。

僕は生まれて初めて、伝統の形がある踊りを踊ったわけなんです。それで撮影が終わった今でもずっと、谷口先生に日本舞踊を教わっています。

『国宝』に出る前から、身体表現という意味で、古いものですが、かつての名作と言われている歌舞伎の映像は見てました。いつになっても色褪せない美しい表現はジャンルを超えて存在しますよね。

思えば日本舞踊の名人・武原はんさんの地唄舞なんかも、あの見せ方はスーパーな前衛だと思っています。1時間かけて1メートルくらいしか動かない。僕の裸体の頃の路上の踊りと、とても近いと思ったり。僕の中で『国宝』は大変に得るものがありました。