その頃、「私はいつまでこの仕事できるかなあ……」と考えていた。30年間漫画家として仕事をしてきて感じていたこと。

漫画の在り方が今までと大きく変わり始めた世の中。近所にあってよく通っていた本屋さんが2軒閉業した。コンビニに行くと、必ずあった少女漫画雑誌が置かれなくなった。

電車に乗ると、数人はキオスクで買ったであろう週刊漫画雑誌を読んでいたのに全然見なくなっていたし、その代わり、ほとんどの人が携帯で動画を見たりゲームをしたりしていた。「あ、もう時代が完全に変わった」と感じた。

同時にその頃、少女漫画を描くことにもう限界を感じていた。少女漫画界で必要とされなくなってきた気がしていた。雑誌は新陳代謝が必要だとわかっている。「淘汰されるのは仕方がないことだし、これから何をしよう……」と思っていたところに、一人の編集者Mさんが現れた。

「スマートフォンで、無料で読める漫画アプリを作ろうと思っているのですが、ご興味ないですか?」

そう聞かれ、詳しく話を聞くことにした。

 

花より漫画』(神尾葉子:著/KADOKAWA)