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まず、今、時代が大きく変化しているということ。紙の雑誌の売り上げが下降線をたどっていること。スマートフォンの画面を下にスクロールして、1コマずつ読み進めていく「縦読み」の漫画を好む人が増えていること。

縦読みの漫画なんて、もう同じ漫画ではないと思った。漫画のストーリーは見開きで作るもの、という固定観念があって、私たち漫画家はそれを最初に叩き込まれる。それに比べて、縦読み漫画はシステムが全然違う。

デジタル漫画も基本は1ページずつめくっていく。問題は、スマホで読むということは、画面が小さい。読者が読みやすいように字もコマも大きくして迫力が必要。

「無料で読める漫画アプリなんてやめたほうがいい」と、周囲からは猛反対された。決めかねていた私を前にして、編集Mさんは、「今やらないと、漫画の文化が縮小されるのは目に見えています」と語気を強めた。熱意のあるプレゼンと、この時代の変化を感じていた私。

「やります」と返事をした。

紙の漫画の文化はまだ続くけど、間違いなくこれが新しい漫画文化になると思った。この話をいただいたとき、すごくドキドキした。SNS とも直結していて、0時を過ぎるとアプリに掲載される。すぐに反応がある。面白かった、つまらなかった、もっとひどい反応もあるし、当たり前だけど読まれないことももちろんある。

今までは読者アンケートがあって、人気は白日の下に晒されない仕組みになっていたけど、読まれた数がはっきりと記される。この緊張感はかなりのものがあった。