右から岩井勇気さん、羽田圭介さん、清水ミチコさん(撮影:大河内禎)
エッセイストとしての才能を開花させた岩井勇気さんと、その著書に推薦文を寄せた羽田圭介さんは同世代。外出もままならない昨今、清水ミチコさんとゲストたちはどのような毎日を送っているのでしょうか。話すうち、3人の意外な共通点がみつかって……後編は「歯」の話から(撮影=大河内禎)

〈前編よりつづく

無意識の緊張感でいつのまに……

岩井 湯豆腐はともかく、ぼくがふわふわした物が好きなのは、歯が悪いからかもしれない。寝ている間に、歯を噛みしめるらしくて。

羽田 奥歯ですか?

岩井 はい。割れたので新しいのを入れようにも、歯も高いですね。

清水 インプラント?

岩井 残った土台にかぶせるんですが、それなりの強度のものを求めると値段が上がるみたいで。

清水 差し歯なら、タピオカには気をつけたほうがいいよ。私、この間タピオカを飲んでたら差し歯が取れたから。

岩井 タピオカの粘着力に負けたんですか? 弱いなあ。

羽田 岩井さんが、割れるまで奥歯を食いしばることがちょっと心配ですね。なにかトラウマでもあるんじゃないですか?

岩井 歯医者さんからも「ストレスを感じてるはずだ」と言われましたが、まったく自覚がない。

清水 この仕事をしていれば、なにかしらの緊張感はあるはずだよ。

岩井 ネタ前は、確かに緊張します。

清水 ウケなかったらどうしようって思う?

岩井 それはないんです。ウケなくてムカつくことはありますけど、ネタを「忘れるんじゃないか」っていう緊張感。本番中に真っ白になったことなんて一度もないのに、そのイメージが消えなくて。

羽田 それが日々続いているなら、歯をギシギシ噛みしめてても仕方がない気がしますね。

岩井 清水さんには、もう緊張する仕事なんてなさそうだなあ。

清水 なに言ってるの、いつだってあるよ! そういえば志村(けん)さんと最後にお仕事をご一緒したのが、大阪でのお笑い賞レースだったのね。2人とも審査員で。そのとき、「おれたちなんてどうせ上がりだろうと思われてて、緊張するなんて誰も想像してないよな」っておっしゃってた。この世界に長くいると、緊張しないように思われることが多いけど、そんな人間いないと思う。