やっぱり専業主婦なんかになるんじゃなかった
息子が幼稚園に入園し、ようやく昼間に数時間の自由時間ができると、朝イチで掃除、洗濯、アイロンがけまで終わらせ、買い出しの後は息子のお迎えの時間までひたすら夕食の下準備に精を出した。
しばらくの間は、毎晩きちんとした食事を用意できる喜びに浸っていたものの、それもそう長くは続かなかった。幼稚園で、ほかの子どもが当たり前にできることが息子だけできなかったり、夫が週末になると一人で外出してしまうことにイラつく毎日が始まったのだ。
私は息子の入園と同時に、ようやく与えられた自由な時間をすべて犠牲にして家事に励んだ。たまのママ友とのランチ中も、頭の中は夕飯の支度のことでいっぱい。心ゆくまで楽しめず、帰りに大急ぎで買い物をし、帰宅後すぐに夕飯の下ごしらえをする。その後、息子を迎えに行き、夕方にはクタクタになってしまう。
こんなに自分を犠牲にして夕飯を作ってあげているのに、息子はできないことだらけ、夫は何も手伝ってくれない。不満でいっぱいになっていた私は、家族に対して相当に嫌なオーラを出していたことだろう。でも、どんなにつらくても、私は母のようにはならない。私は自分を犠牲にしても、夫と息子に毎日温かい手料理を出すのだ。そう自分に言い聞かせ、気づいた頃には、私の体は悲鳴を上げていた。
ストレスによる歯の食いしばり、歯ぎしりで、顎と口の中が痛くなり、大量の口内炎ができて、まともに食事ができない。さらに、突然片方の目がほとんど見えなくなり、完治するまで4ヵ月近く通院することに。しまいには、息子をかわいいと思えなくなってしまった。あと半年で息子が小学生という時に、私は半泣き状態で子育て支援センターのカウンセリングですべてをぶちまけた。
「専業主婦だった私の母は、家事をまともにしない人でした。特にごはんがひどくて、私も頑張らないとあんなふうになりそうで……。だから私は昼寝の時間もとらず、すべての時間を家族のために使うことで、専業主婦としての義務を果たしているつもりでした。でも、どんなに頑張っても夫は何も言ってくれないし、息子はできないことだらけ。私が頑張っている意味がないような気がするんです。
でも、出来合いのお惣菜なんか出したら、母と同じになってしまう。養ってもらっている立場で、掃除をさぼったりしたら、怠け者の主婦だと思われそうで。やっぱり専業主婦なんかになるんじゃなかった。稼いでいれば、もっと堂々としていられたのに。家事を少しさぼっても許されたのに……」