新しい風が吹き始めて
連盟理事に立候補したのは、17年、48歳のときです。なぜあのとき手を挙げたのか記憶が定かではないのですが(笑)、いてもたってもいられない思いでいたのは確かです。自分のいる環境に要望があっても、傍から言うだけなら簡単。運営側に入って行動を起こさなければと考えたのでしょう。
ただそれは、「女流棋士」の棋界を盛り上げたいという目的のためではなく、あくまでも将棋界全体に新しい変化を起こしたいという思いから。理事選で票を入れていただいたのは、連盟もその機運が高まっているのだと、いつもの楽観主義で取り組みました。
その一つが、棋戦の数を増やすこと。棋士や女流棋士は棋戦に参加し対局料や賞金を得て活動しています。魅力的な棋戦が増えれば、将棋ファンへの恩返しにもなるでしょう。
私が担当していた女流棋戦では「清麗戦」と「白玲戦」という二つのタイトル戦が、18年と21年に新設されました。さらに白玲戦は、賞金が今年度から4000万円に増額されたことは対局者にとってもうれしいこと。
もちろん棋戦の賞金額にかかわらず、分け隔てなく盤上に向かうのが勝負師というもの。しかし人は霞を食べては生きていけません。女流棋士の皆さんから、「対局が増えてうれしい」「収入がアップしました」との言葉を聞くと報われた気持ちになります。後に続く人たちにも、夢や憧れがモチベーションになってくれたらと願っています。