2024年、創立100周年を迎えた日本将棋連盟。25年6月に史上初の女性会長に選出されたのが清水市代女流七段です。女流棋士としての圧倒的な強さ、あたたかな人柄、わかりやすい解説でファンが多い清水さんに新会長としての思い、将棋の魅力と未来について聞きました。(構成;山田真理 撮影:洞澤佐智子)
女流棋士に憧れ、全タイトルを獲得
当時はネットの情報もない時代でしたので、その大会で初めて私は「女流棋士」という存在を知ります。皆さんから「先生」と呼ばれていたその女性は、華やかで貫禄があり、指導対局で同時に5人もの相手と指す姿が、オーラをまとって輝くようでした。
その感激を父に話すと、将棋にはプロという世界があること、男性社会ではあるものの、近年(1974)、「女流棋士というプロ制度」が新しく作られたことを教えられて。好きな将棋を仕事にできるの? 女性だけなんて宝塚みたいで素敵! 私はすっかり女流棋士を目指す気になり、その夢を両親に打ち明けました。
てっきり応援してくれると思っていたら、二人とも猛反対。当時は女流棋士の数が少なく、収入面でも恵まれていなかった。特に父は、「人生勉強として将棋を楽しんでもらいたい」という考えだったので、勝負にこだわるプロの世界に飛び込ませたくなかったのでしょう。
父から「富士山の次に高い山は?」と問われた私が答えられなかったとき、「プロとはそういう世界だ」とつぶやいた言葉は今も忘れられません。やるからには天辺(てっぺん)をを目指す。数ヵ月も家族会議を重ねて私の覚悟を確かめた両親は、弟子入り先を探したり、女流育成会への入り方を調べたりなど、全面的に協力してくれました。