織田信長像(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
現在放送中のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。本作の主人公は、天下人・豊臣秀吉の弟である豊臣秀長です。歴史の教科書にも載っていない彼は、いったいどのような人物なのでしょうか?今回は、書籍『図解 豊臣秀長』をもとに、歴史研究者で東大史料編纂所教授の本郷和人先生に解説をしていただきました。

秀長はいつ信長に仕官したのか?

秀長が信頼できる史料の記録の上でその存在がはっきりしてくるのは、織田信長の伝記『信長公記』の天正2(1574)年の記述です。

それ以前の事績については、前野家に伝わる古文書『武功夜話』など信憑性が低いとされる史料や『太閤記』など江戸時代以降に描かれた読み物による部分が多いので、これらを史実と見るかの判断には注意が必要です。

秀吉は家を飛び出して各地を流浪した末、『太閤素生記』によれば三河(現在の愛知県東部)にある頭陀寺城で松下之綱という武士に約3年仕えていましたが、弘治元(1555)年には尾張(現在の愛知県西部)に帰ったといいます。

この頃の秀吉は、木曽川沿いに勢力を張っていた土豪集団である川並衆に属していた蜂須賀小六(正勝)の屋敷に出入りしており、織田家に仕えていた武士・生駒家の屋敷にも小六に従って出入りしていたようです。