舞子は目を見開いた。
 そうだ、自分たちが子供の頃、百貨店やデパートの屋上には小さな遊園地があった。福来屋日本橋本店の動物園と同様に、子供向けの施設を屋上に作るのが当時のトレンドだった。
 舞子が子供の頃に家族で通った、地域で一番大きなデパートもそうだった。屋上にカラフルなミニ汽車とトランポリン、飴玉をすくうゲーム台とひよことの触れ合いコーナーがあった。明るい音楽とポップコーンの香りが漂うそこは、幼児にとってまさに天国のような場所だった。
 あのとき、大興奮で小さな遊園地を駆け回る自分を、母親はどんな顔で見ていたのだろう。もう忘れてしまった。覚えておけばよかった。
 ただ、普段は食べないソフトクリームを食べながら、小さな遊園地で遊ぶ息子たちを眺めていた義母の気持ちは、今ならなんとなくわかる気がする。