枯れ果てているのは私たちだけなの?

風呂上がりの夫が、ステテコ一丁であくびをしながら話しかけてくる。
「ふわあー、腰いてえ。ねえ、湿布どこだっけ?」 
夫には下着をギューンと上まで上げる癖があるので、ステテコ一丁ですごいハイウエストだ。
「引き出しの2段目」
私はスマホから目を離さずに答える。

そこに「男と女」の緊張感なんてものは存在しない。あるのは平和で穏やかな馴染みきった空気だけ。この関係はあまりに快適で、安全で、そして致命的に色気がない。

それでも私は「子どもが産まれた後の夫婦なんて、きっとみんなそんなもんだ」と自分に言い聞かせることで心の平安を保っていた。しかしその平安はある出来事によって砕かれた。

30代後半で、親友のアヤカ(仮)が3人目の赤ちゃんを産んだのだ。彼女は私と同い年で、彼女の夫は私の夫よりも年上だ。「生理が来なくて……もしかしたら妊娠かもしれない」と聞いたとき、私はものすごくショックを受けた。

イメージ(写真提供:Photo AC)

咄嗟に「嘘。まだしてんの!?」と思ってしまったのだ。

アヤカの夫は私の夫より年上だし、きっとうちよりも枯れているはず。勝手にそう思っていたのだ。

――もしかしたら、枯れ果てているのは私たちだけなの?

親友の妊娠報告を聞いて、喜ぶどころか、そんなことを真っ先に考えてしまうなんて……私はなんて酷い友人なんだろう。