『武功夜話』は昭和29年以降に書かれたものかも

さて、そこで『武功夜話』です。

この資料には勝村公さん、服部英雄さんが指摘しているように、「富加」という地名が出てきます。これは 岐阜県の富田村と加治田村が合併して、昭和29年に「新しく」作られた地名です。

となると、「浜松パターン」ではなくて「亀有パターン」で、『武功夜話』は昭和29年以降に書かれたものかもしれない、という考察が成立してしまう。

『武功夜話』は資料として成立している、と主張する人は少なくありません。でも戦国時代に「富加」が資料中に出てくる理由、を説明できる人は、いないんじゃないかな。

そういう人はよく「私は原本を調査した結果、これは良い資料だとの結論に達した」と主張しますが、調査というのは経験則であって、科学ではありません。説得力に欠けます。

戦国時代の書に「富加」がなぜ出てくるのか。この問題はたいへんに重い。

そうなると、墨俣一夜城の物語は、面白いのだけれど、史実と認めるには疑問が残るなあ、と結論づけるほかない、と考えます。

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