夜に積雪の予報。早く帰ろうと思ったが…

40代の時に父の借金が発覚して、都内の家を売り、東京郊外の家に引っ越した。父は難病で自宅で寝たきり、母は介護に専念し、統合失調症の兄は働けずに家にいた。私は自宅から東京都内の会社に行くのに2時間かかり、もちろん帰るのにも同じ時間がかかった。

引っ越してから5ヵ月後に、朝から雪がちらつき、夜にかけて積雪になるという天気予報が出た。私がいた小さな新聞社の社長が、「東京は雪に弱い。電車が止まるといけないから、早めに帰宅していいよ」と、社員たちに伝えた。

ところが急ぎの仕事が入り、私は残業となり、自宅近くのバスの停留所に着いたのは、午後10時過ぎ。そこから自宅まで15分歩くのだ。バスの停留所から20メートルほど歩くと広い通りにぶつかり、その広い通りを真っすぐ歩き続けてから角を曲がり、さらに歩くと自宅に着く。

私は広い通りまで歩き、あ然とした。上り2車線、下り2車線の道路に、車が走っていない。車道の両側には大人が7人横に並んでも歩ける広さの歩道があるが、人が歩いていない。20センチくらい雪が積もり、歩道と車道の区別がつかず、雪原が広がっていた。

雪国の人が見たら、どうということのない光景だろうが、東京で育った私には驚きだった。