後光がさす人は…
後光の人は、「オッサン」と呼びたくなるような中年の男性だった。私は、「すいません。道を教えてください」と声をかけ、自宅の傍にある食品会社の倉庫の名称を言った。
すると男性は、後ろを振り返り、「あそこの自動販売機のところを曲がるとあるよ」と教えてくれた。そして、「これから食品倉庫で夜勤かい。たいへんだなあ」と言った。
私は正直者だから、「食品倉庫の傍の自宅に帰りたいのです」と話した。
男性は大声を出した。「あんた、大丈夫か?自宅が分からないのか?送って行こうか?」
私は、「昨日、越して来たばかりなのです」と、5ヵ月前から住んでいるのに、恥を隠すために、正直者から急に姑息な嘘つきに変身した。
「そうか、越して来たのが昨日なら仕方ない。気をつけて帰りなさいよ」と男性は言い、自転車を押しながら去って行った。
救世主がオッサンの姿で現れたのだと感じた。吹雪の中に消えていく後ろ姿に、「オッサン神、ありがとう!」と、心の中で叫んだ。
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