ただ、「続ける」

逢坂剛(小説家)

わたしの長年の習慣と言えば、神保町に行くこと。幼いころから好きだった古書店街に仕事場を持ち、今も通っている。住むのではなく通うというのが大事で、これは飽きずにいつまでも好きでいられるコツでもある。ただし好きだからやっているだけだが。

結局のところ「自分ならできる」と思ってやるので、運や神仏に頼ったことはない。

初めて新人賞に応募した時には、ポストに原稿を投函した「ストン!」という音が、「合格!」と言っているように聞こえたものだ。しかしその時は落選。その後懲りずに何度も応募して、なんとかデビューできた。

もしわたしが幸運であるというのなら、ただ「続ける」ということが、その秘訣なのかもしれない。

おうさか・ごう
1943年東京都生まれ。80年「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『カディスの赤い星』で86年日本冒険小説協会大賞、87年直木賞、日本推理作家協会賞を受賞。近著に『ブラック・ムーン』(小社刊)(撮影:白鳥真太郎)