佐藤家の荒ぶる血

祖母は「佐藤家の荒ぶる血は情念の強さだ」といったことをよく言ったものだが、その情念は母にも親子の情という形で引き継がれたようである。

自由を奪い続けた母親を恨みながらも、苦難を共に乗り越えてきた母親を突き放すことはできなかった。

母はギリギリまで、祖母の期待する「佐藤愛子の娘」としての役割を果たそうとした。

 

祖母の介護施設への入居というのは、母にとって「佐藤愛子の娘」から「杉山響子」になるための通過儀礼だったのかもしれない。

それでもなお、「佐藤愛子の娘」である責任は強く感じているようであるが、母は佐藤愛子の娘である以前に杉山響子である。

母親の人生の《養分》として生きるのではなく、自らの人生を生き切ることがこれからの親孝行であると思ってほしい。それが子としての私の願いである。

 

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